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QAエンジニアが開発チームの安心を支える | エンジニアが設計・実装に100%集中できる環境の作り方
開発エンジニアがテストを兼務し、本来の領域である設計・実装に割く時間が限られてしまう。こうした状況に直面している現場は少なくありません。しかし、エンジニアのリソースが日々の検証作業に集中すると、新規プロジェクトの構想や開発プロセスの改善といった、中長期的なプロダクトの成長に繋がる活動に時間を充てることが難しくなります。
こうした課題を背景に、近年ではQAエンジニアをアサインし、開発と品質保証の役割を分担することでチーム全体の生産性を高める体制づくりが注目されています。
本記事では、テストをQAエンジニアに任せることで得られるメリットや、開発・品質保証の連携体制としてさらに一歩進んだアプローチである「シフトレフト」について解説します。
目次
開発エンジニアがテストを兼任する際の課題
開発エンジニアがテストも担う体制は、プロジェクトの初期段階や小規模なチームでは柔軟に動けるメリットがあります。一方で、開発規模が拡大するにつれて、設計・実装の生産性やプロダクトの品質維持において、いくつか整理すべき課題が出てくることも事実です。
まずは、テストの兼任が現場にどのような影響を及ぼすのかを解説します。
設計・実装に集中できなくなる
第一に、品質保証に時間を取られることで、本来労力を割くべき設計・実装に集中できなくなるという問題があります。
品質保証の工程は、テストの実行だけにとどまりません。テスト計画・設計から結果の記録、改善計画までの一連の工程は、開発プロジェクト全体の3分の1を占めるともいわれます。
これらすべてを開発エンジニアが担うと、設計・実装という本職のスキルを研ぎ澄ます時間が物理的に奪われてしまいます。また、業務の幅が広がりすぎることで、1つひとつの技術への習熟が分散し、エンジニアとしての専門性を発揮しづらい状況が生まれやすくなります。
テスト観点の抜け漏れをもたらす
経験豊富なエンジニアであっても、自身が設計・実装したシステムに対しては「意図通りに動くはず」という無意識のバイアスが生じがちです。そのため、予期せぬ操作や例外的な条件下での挙動を確認する「異常系」の観点が、どうしても抜け落ちやすくなります。
ユーザーは必ずしもマニュアルを読み込んで操作するわけではないため、「ちょっとした誤操作でデータが消える」「必要なボタンがどこにあるかわかりづらい」といったトラブルは、プロダクトへの不満に直結します。その結果として、toCアプリであれば離脱の原因になる場合があるほか、業務システムであれば従業員のエンゲージメント低下やビジネスへの悪影響につながるため注意が必要です。
企業競争力が低下する
市場の変化が早い現代、企業競争力の維持・向上を図るためには、顧客のニーズを捉えて次々と新機能や新規プロダクトの開発を進めるスピード感が欠かせません。
多くのソフトウェア企業が複数のプロダクトでしのぎを削るなか、開発者が品質保証にリソースを取られると1つのプロジェクトにつきっきりになり、会社全体としての動きが鈍化することがあります。
「新しいプロダクトを立ち上げられない」「市場の変化に合わせたアップデートが追い付かない」といった問題は、数年単位で見たときに事業の継続性そのものに深刻なダメージをもたらしかねません。

品質保証を専門家に任せるメリット
テストをはじめとする品質保証活動に専門的な人材をアサインすることで、開発エンジニアは自らの技術力を最大限に発揮できるようになり、短期的にも中長期的にも多くのメリットにつながります。
ここでは、QAエンジニア・テストエンジニアに品質保証を任せることによる主なメリットを解説します。
役割を限定することで、開発者の作業効率と専門性を高められる
設計・実装に専念できる環境は、技術の習熟を早め、より高品質なアウトプットを生み出します。
先述の通り、開発者が自分の設計・実装したシステムに対して「こう動くはず」という先入観を持ちやすいなか、テスト観点の漏れを防ごうとすると「こういう可能性もある」「このケースも検討しなければ」と意識を取られ、設計・実装そのものに労力を割きづらくなります。
QAエンジニアがいれば、開発者は「テスト観点の漏れ」を過度に不安視することなく、自身の役割に思考を集中できるだけでなく、最新技術へのキャッチアップに充てる時間も増やすことができます。
これは企業目線でも「社員のスキル向上」というかたちで還元され、目の前のプロダクトのクオリティが高まるだけでなく、中長期的に見た競争力向上にもつながります。
プロジェクト全体の進行が安定する
QAエンジニアの視点が入ることで、プロジェクト全体の計画改善も進みやすくなります。
開発エンジニアがテストも兼任する場合、開発が遅延した際には後のテストの時間を削って帳尻を合わせることが少なくありません。それに対し、テスト計画・設計のノウハウを持つQAエンジニアの知見が入れば「どの部分から着手すれば並行して検証を進められるか」といった専門的な判断が可能になります。
QAエンジニアによる柔軟な対応は、品質リスクの抑制だけでなく、開発チーム全体の心理的な余裕にもつながるのです。
変化に強い、柔軟なチーム編成が可能になる
テスト工程を専門家に委ねれば、開発者は検証期間中に次のプロジェクトに着手できます。特に複数のプロダクトを並行して展開するSaaS企業などでは、開発エンジニアを次々と新しいプロジェクトにアサインできる体制が事業全体の成長に大きく寄与します。
さらに、優秀な開発エンジニアの手が空くことで、開発プロセスそのものを見直す、競合に見られない革新的な機能を開発するといった活動にも注力できます。生成AIなどの新技術の発展が目覚ましい現代では、目の前の開発でリソースが埋まらない体制づくりが、数年単位で見た企業の競争力向上に不可欠といえます。

「シフトレフト」で上流工程から品質保証観点を入れる
テストを専門家に依頼するだけでも、開発チームには大きなメリットがありますが、さらに一歩進んで、品質保証の観点を開発の上流工程から組み込む「シフトレフト」の考え方を取り入れれば、その効果はより高まります。
従来の開発フローでは、要件定義・設計・実装が完了してからテスト工程に移るかたちが一般的でした。このフローでは、テストで不具合や仕様の不備が発覚しても、その時点ではすでに一度実装を終えているため、修正コストが膨らむという難点がありました。
一方で、QAエンジニアが要件定義から関与するシフトレフトを導入すれば、次のようなメリットが期待できます。
- 手戻りのリスク軽減
設計段階で「どうテストするか」を定義することで、後工程での手戻りを大幅に減らせる - 受け入れテストの効率化
要件定義書を「この機能はこう使われ、こう動くべき」と細部まで具体化でき、そのまま受け入れテストのテストケースとして活用しやすくなる - チーム内での共通認識の醸成
設計・実装・テストそれぞれの担当者が初期段階で「こういうものを作る」「こう使えるべき」などの認識を共有したうえで進められる。設計担当者・実装担当者はゴールを明確に理解したうえで開発に集中でき、テスト担当者は設計意図を把握した状態で検証に臨める
シフトレフトをすぐに全面的に取り入れるのが難しい場合でも、まず「要件定義のレビューにQAエンジニアを参加させる」「仕様書の段階でテスト観点を確認する」といった小さなステップから始めるとよいでしょう。
適材適所の分業で、開発効率と品質を両立する
テストを「開発者が片手間にこなす作業」にするのではなく、専門のQAエンジニアが担当する独立した工程として確立させる。これにより、開発エンジニアは本来の強みである設計や実装に専念できるようになります。
自社内に専門の人材がいない場合は、外部の支援をうまく取り入れ、開発チームがよりスピード感を持って新しい機能やプロダクトを生み出せる体制を整えるのも選択肢の1つです。
AGESTでは、テスト戦略の立案から設計・実施まで、お客様の状況に合わせた品質保証活動を一気通貫で支援しています。品質保証体制の構築や開発チームの負荷軽減に課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
