創業75年のメーカーが踏み切った、初のテスト外注化。製品の信頼性アップと工数削減に成功!

東信電気株式会社

電気・電子機器(ハードウエア・ソフトウエア)の受託製造や開発サービス、信頼性試験の受託サービス、カスタム仕様品の開発・販売

業種 製造

従業員数500名未満

利用サービス ソフトウェアテスト

東信プラットフォーム事業推進グループ 部長 松尾 潤 様
東信プラットフォーム事業推進グループ主任 阿蘇 茂和 様

東信電気株式会社

  • 盗難・獣害対策システム「ミテルス」において、創業以来初めて第三者テストを本格導入
  • AGESTへの外部委託によって、内製ではチェックが漏れがちなイレギュラーな状況に対するテストを網羅的に実施できた
  • 提案段階から、テスト専門家ならではの視点で質の高い具体的なシナリオを描いてくれたため、安心してテストを任せることができた
  • 自社でテストを内製化すると半年ほどかかる見込みだったが、AGESTに外注したことで約1ヶ月ほどの期間でテストを実施することに成功

コンピュータ関連機器、通信関連機器、映像関連機器等の設計・開発から製造、販売、修理まで、一貫したサービスを提供している東信電気様。

2025年7月には、自社開発した盗難・獣害対策システム「ミテルス」をリリース。これまではテストを自社だけで対応していましたが、従来のテストでは現場で起こりうる「想定外の動き」まで十分に洗い出せないという課題が浮き彫りに。

そこで初めて踏み切ったのが、AGESTへのテスト外注化です。今回は、東信プラットフォーム事業推進グループ部長の松尾様、同グループ主任の阿蘇様に、初めての外注先にAGESTを選んだ理由や得られたメリットについて伺いました。

イレギュラーな状況に対応するための網羅的なテストが実施できていなかった

はじめに、貴社の事業内容や所属する部署について教えてください。

松尾様:当社は、電電公社向けの電線製造から始まり、基板実装やコンピューター関連機器など、電子機器の開発・生産を手がけてきたメーカーです。現在は、開発と生産をワンセットにしたODM推進、自社製品の2本柱で事業を展開しています。

私と阿蘇が所属する東信プラットフォーム事業推進グループは、制御基盤のプラットフォーム提案や自社商品の開発を担当しています。今回、AGESTにテストを依頼した「ミテルス」という盗難・獣害対策システムも担当しています。

阿蘇様:「ミテルス」は、AIカメラで侵入者を検知し、30,000ルーメンの超高輝度LEDと最大105dBの大音量で威嚇する「攻めの防犯システム」です。一般的な製品は控えめな警告に留まりますが、太陽光発電所のような広大な敷地を守るため、侵入者が明確に嫌がるレベルまで引き上げた仕様にしました。

また、エッジAIをカメラ内で動作させることで即座に反応し、人・車・二輪車(盗難対策用)やイノシシ・シカ・クマ(獣害対策用)を正確に識別します。誤報が多いと監視担当者の信頼を失う「オオカミ少年」状態になるため、AIによる高精度な検知で無駄な確認時間を削減しています。

AGESTにテストを外注化する前に抱えていた課題を教えてください。

松尾様:創業から一貫して自社内でテストを実施してきましたが、内製でテストを進める際に最も課題と感じていたのは、イレギュラーなケースへの対応です。

仕様どおりに動作するかを確認する正常系テストは当社内でも対応できていたのですが、現場で起こりうる想定外の利用状況やイレギュラーな動作パターンを網羅的に検証することができていませんでした。

起こり得るシーンのシナリオを自分たちだけで作り続けるのにも限界があり、さらにテストの設計から実行までを内製で行う場合、膨大な工数になってしまうような状況でした。そこで、テストのシナリオ設計の段階から外部の専門家の知見を取り入れる必要性を強く感じていました。

依頼の決め手は、テスト専門家ならではの綿密なシナリオ設計

なぜAGESTを外部委託先として選ばれたのでしょうか?

阿蘇様:もともと第三者テストには興味があり、機会があれば試したいと思っていたのですが、ちょうど「ミテルス」のリリースが迫るタイミングで、AGESTからご連絡を頂いたのです。

その後、すぐにAGESTの担当者と打ち合わせを行ったのですが、その打ち合わせにはAGESTのエンジニアにも同席いただきました。技術者の方が同席してくれる安心感もありましたし、当社における最適解を全力で検討してくださる様子が伝わってきましたね。

AGEST側からの提案内容も納得感のあるものでしたし、開発に深く携わってきた私個人としても「この会社なら安心して任せられる」と感じ、AGESTに依頼することを決めましたね。

松尾様:私にとっての1番の決め手は、「テストのシナリオを作ってくれる会社かどうか」という点です。外部委託する際、多くの場合は具体的なテスト項目の提出を求められますが、それでは内製化した場合と工数が変わらないという懸念がありました。

もともと私は第三者が作るシナリオに興味があり、AGESTが初期段階から具体的なシナリオ設計や観点まで踏み込んで提案してくれた点に大きな魅力を感じました。当社からはほとんど具体的な説明をしていないにもかかわらず、「この少ない情報量で、ここまで質の高いシナリオを作ってくれるんだ」と驚いたことを覚えています。

実際に提示されたテスト内容からも専門家ならではの視点と設計力を明確に感じ、「この会社なら設計段階から任せられる」と判断しました。

テスト実施中におけるAGESTとのコミュニケーションについてはいかがでしたか?

阿蘇様:AGESTとのコミュニケーションはメールやチャットでのやりとりでしたが、非常にスムーズだと感じました。仕様に迷いが生じる箇所については「一般的にはこのように対処するケースが多いですが、東信電気様ではどうされますか?」と前提となる考え方を示した上で、我々に選択肢を提示してくれたのです。

こちらから言われたことだけをやる外部委託業者が多いなかで、AGESTは積極的にさまざまな提案をしてくれたため、大きな安心感がありました。

松尾様:AGESTは進捗共有が細かく、スケジュール通りに作業を進めていただきました。作業開始前は「本当に期間内に終わるのか」と心配していた部分もあったのですが、日報で進捗を可視化してくれていたため、全体の進捗状況が常に把握できた点も助かりましたね。

また、外部に依頼すると質問待ちで作業が止まることが多くあるのですが、AGESTは質問票のやりとりをテンポよく進めてくれ、作業が滞る場面がほとんどありませんでした。リリースまでの限られた時間の中でスケジュール通りにやり切っていただき、大変感謝しています。

AGESTに外注化したことで、内製なら半年かかる工程を約1ヶ月に短縮できた

テストはどのような流れで進めていったのでしょうか?

阿蘇様:テストでは、まず私たちから仕様をAGESTに共有し、そこから作成いただいたテストのシナリオ設計をもとにテストを実施していただきました。「ミテルス」のアプリは、仕様どおりの動作はもちろんのこと、想定外の操作や利用状況などのイレギュラーなケースへの対策が非常に重要だったため、その点も考慮した手厚いサポートをしていただきました。

テストの実働期間は約2週間で、仕様把握や準備期間を含めても1ヶ月ほどで完了しています。これと同じ内容を社内だけで対応しようとした場合、半年ほどかけても終わらなかったのではないかとも考えています。

専門会社のテストを利用したことで、どのような気づきがありましたか?

松尾様:専門会社のテストを利用して得た気づきは大きく2つあります。

1つ目は開発効率の向上です。検出された不具合は、エビデンスとして動画で残してくれたため、開発パートナーへの共有も非常に円滑でした。そのため、当社エンジニアの開発工数が削減できただけでなく、現場からも「自分たちでは見つけられなかった不具合が多かった」という声も上がり、第三者テストの価値を改めて実感しました。

2つ目は「自分たちでは気付けない指摘」が数多く得られたことです。例えば、パスワードの文字数といった基本的な部分であっても、AGESTは一般的なサービス基準を踏まえて改善案を提示してくれました。どうしても社内だけだと固定観念のようなものができやすいのですが、テストの専門家であるAGESTからの知見を共有していただけたのは、大変心強かったですね。

阿蘇様:外部へ依頼したことで、製品の信頼性が確実に上がったと感じました。

イレギュラーな利用状況まで第三者の視点で洗い出してもらえたことで、内部では気付きにくい品質リスクを事前に解消することができました。特に当社のようにハードとソフトが一体となった製品は、出荷後に不具合が発生すると現地対応が大きな負担になります。

私自身、過去にはシステムの不具合によって全国を回って改修を実施し、半年近く対応に追われた経験もしました。そのような点において、事前に第三者の視点を入れることで、結果的に大幅なコスト削減に繋がると感じましたね。

松尾様:当社では製品をリリースする際に厳格な承認プロセスがあり、特に自社製品を出す際のハードルは非常に高く設定されています。これまで社内だけでテストを実施した場合、「我々が評価しました」という報告を出しても、「エビデンスが足りない」と指摘されることが多かったのです。

しかし今回、AGESTという第三者テストの結果を提出したところ、承認プロセスがとてもスムーズに進みました。特に自分たちで開発したものは「本当に大丈夫なのか」という厳しい追及を受けやすいのですが、外部の専門家による「お墨付き」があることで、上層部からの信頼を得やすくなったと感じています。

自社開発だけでなく、受託開発にも第三者テストの導入を進めていきたい

今後の展望、そしてAGESTへの期待について教えてください。

松尾様:今回のAGESTとの取り組みを通じて、改めて第三者テストの有用性を強く感じることができました。そこで、今後は自社商品だけでなく、当社の受託開発領域にも積極的に活用していきたいと考えています。

阿蘇様:松尾と同じく、AGESTのようなテスト専門家に外注することは大きな効果があると感じています。製品の信頼性向上はもちろんですが、それと同時に開発担当者の心理的な負荷を軽減する効果があるとも感じました。

開発に携わっていない人はイメージしづらいかもしれませんが、ソフトウェア開発ではリリース前に開発者が寝られないほどのプレッシャーを抱えることも少なくありません。開発メンバーが安心して最終工程を迎えられるようになることも大きなメリットだと感じているので、今後も積極的に第三者テストの活用を進めていきたいです。

最後に、第三者テストの導入を迷っている企業へメッセージをお願いします。

阿蘇様:外部にテストを依頼するか迷っている企業は、まず小さく試してみることをおすすめしたいです。予算やスケジュールなどを含め、まずはAGESTに相談をしてみて、小さな規模からでもいいので、一度やってみるとその価値を感じてもらえるのではないかと思います。

松尾様:私個人の意見にはなりますが、まずは社内だけでテストを実施した場合の工数やリスクと、第三者に依頼した場合の負担軽減を一度立ち止まって比較してみてほしいです。

今回、AGESTにテスト設計を依頼した製品「ミテルス」は、当社として初めて第三者テストを本格導入した案件でした。最初は不安もありましたが、第三者の視点を取り入れたことで、見落としていたポイントや社内前提では気付けない改善点が数多く見つかりました。

テストの外注化を迷っている企業には、ぜひ一度、担当者に会って話を聞いてみることをおすすめします。

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