ソフトウェアテスト(検証)とテクニカルサポートセンター運用を代行、テストチームとの連携により開発チームの対応工数を大幅削減
パソコン・スマートフォンソフトウェアおよび ハードウェア製品の企画・開発・販売
- 課題:テクニカルサポートセンターからのエスカレーション件数が増え開発チームへの負担が増大。
- 導入効果:ソフトウエアテストチームとテクニカルサポートセンターの連携により、開発チーム担当者の1日あたり対応工数が最大7割→2割に減少。
ソフトウェアとIoT機器の開発・販売を手掛けられるソースネクスト様。数多くの製品を世に送り出される一方、ユーザーからのお問い合わせに対応するテクニカルサポートに課題を感じていらっしゃいました。今回はプロダクトディビジョン CSグループ・グループマネージャーの澤永敏郎様にインタビュー。当社の強みであるソフトウェアテストとテクニカルサポートセンターの運用代行を組み合わせた取り組みについて、お話をお聞きしました。
Web上で約600タイトルのソフトを販売
まず最初に、事業内容について教えてください。
澤永様:メイン事業は、ソフトウェアの開発、販売です。
一般ユーザー向けの筆まめ、筆王などの年賀状ソフトやセキュリティソフト『ZEROシリーズ』の他、プロ向けの画像・映像編集ソフトなどを展開し、タイトル数としては600種類を超えます。
最近ではその他にも、AI通訳機『ポケトーク』などのIoT製品の販売も手掛けています。
この度当社からは、ソフトウェアテストとテクニカルサポートセンター運営のお手伝いをさせていただきました。ご相談いただく上で、どのような課題感を持っていらっしゃったのでしょうか?
澤永様:先程お話したように、弊社のソフトウェアはそのジャンルの幅広さと製品数の多さが特徴です。さらにバージョンアップも含めると年間100タイトルほどが新たにリリースされています。お客様から多種多様な製品のお問い合わせをいただくため、以前からユーザーサポートは弊社の課題の一つでした。
AGEST(旧デジタルハーツ)にご相談する前から、テクニカルサポートセンターの運営は外部に委託していました。しかし、製品数の増加に合わせて、少しずつ対応の遅れが見え始めました。
決定打になったのは、数年前に開始した海外製品のOEM販売。プロの方をターゲットとした画像・映像編集ソフトやCADソフトが中心で、自然とお問い合わせ内容も専門性の高いものになります。
通常お問い合わせをいただいた翌営業日にはご返信するべきなのですが、内容の確認に時間を要し、返信まで数日いただいてしまう事態になってきていました。
当時は、どのように対応していたのですか?
澤永様:「絶対にお客様を待たせてはいけない」という思いのもと、テクニカルサポートセンターですぐにお答えできないお問い合わせは、弊社の開発チームにエスカレーションしてもらい、自社内で対応することにしました。販売している製品ごとに開発チーム内に担当者がおり、各担当者がお問い合わせの対応にあたります。
もっとも忙しい時期には、各担当者が1日の業務時間のうち7割程度を、お問い合わせ対応に充てていたのではないでしょうか。当時は私自身、各担当者が本業であるソフトウェアの開発に充てる時間が少なくなっていくことに、かなりの危機感を覚えていました。
委託先の決め手は、柔軟なソリューションと課題への提案力
当社にご相談をいただいたのは3年前。「テクニカルサポートセンターの新たな委託先を探している」というご相談でした。
澤永様:AGESTさんとのお付き合いは、以前弊社が手掛けていたPCゲームの廉価版でのデバッグから始まり、その後もソフトウェアのテストを継続的に依頼させていただいていました。
ご相談したきっかけは、たまたま拝見していたAGESTさんのHP。ちょうど新しい委託先を探していたところ、AGESTさんでもユーザーサポートを手掛けられているというのを見て、ご連絡しました。
最終的に当社にご依頼いただけることになった決め手は何だったのでしょうか?
澤永様:まずはこれまでのお付き合いの中で信頼感があったこと。そして何より大きかったのは、柔軟性の高さです。
過去の経験上、サポートセンターを外部に委託する場合、柔軟性が不可欠だと感じていました。これまでは、どのような方がお客様の対応をしているのか弊社側には分からなかったり、サポートセンターの人員が入れ替わって対応品質が変わってしまったり、といったことがありましたが、どこまでオーダーしていいか迷うこともありました。
AGESTさんはこれまでも、突発的な依頼も引き受けてもらったり、弊社の事情に合わせた契約体系を組んでいただいたりと、弊社の課題に応じたソリューション提案や柔軟な姿勢が印象的でした。特に現在も対応していただいている担当者の方から、「澤永様がやってほしいと思うことは、何でも仰ってください。当社は極力そのとおりにやります」という力強い言葉が、当時も心に残っていました。
そんなAGESTさんであれば、一緒に目指すべきサポートセンターを作り上げられるのでは、と思いました。
ソフトウェアテストチームとの連係でエスカレーション件数と対応工数が激減
当社でサポートセンターの運営を開始して、約3年が経ちました。現在、お問い合わせ対応はどのように変わったのでしょうか?
澤永様:まずお問い合わせメールをサポートセンターで受け、最終的に解決できない場合は弊社にエスカレーションされる運用は以前と変わりません。しかし現在では、ほとんどAGESTさん側で解決いただけるようになっています。
これを実現できている理由が、サポートセンター内にソフトウェアテストチームがいることです。サポートセンターで解決できないお問い合わせは、まずはソフトウェアテストチームへエスカレーションされ、それでも解決できないもののみ弊社にエスカレーションされます。ソフトウェアテストチームは新しいソフトウェアのテストを担当していただいており、各製品に精通していますから、弊社にエスカレーションされる前に多くのお問い合わせを解決してくださっています。
さらにサポートセンター内でも役割分担され、解決にあたってもらっています。
お客様からのお問い合わせを最初に受けるオペレーター。クレーム対応やオペレーターの教育なども行うスーパー・バイザー。そしてオペレーターとスーパー・バイザーの中間に位置し、両者をつなぐリーダー。役割と具体的な業務フローも細かく決められており、安定した業務品質を維持してもらっています。
先程お話いただいた課題は、具体的にどの程度解決されましたでしょうか?
澤永様:AGESTさんに委託する前よりも、弊社へのエスカレーション件数は確実に減少しました。
現在お問い合わせの件数は1日平均200件ほどで、そのうち約20%がサポートセンターでは解決できずソフトウェアテストチームへ渡ります。ソフトウェアテストチームで解決されるのがほとんどで、最終的に弊社にエスカレーションされるのは、お問い合わせ件数全体の5%ほどになっています。
またエスカレーションされる場合もただお問い合わせ内容が丸投げされるわけではなく、レポートと合わせて弊社に送られてきます。
「テストチームですでにこのような確認を実施した。原因はこれではないか」といった形でいただけるので、弊社内での対応工数そのものが、以前と比べて短縮されています。
エスカレーション件数の減少とお問い合わせ対応の工数削減によって、開発チームの負荷も大きく軽減しました。現在では、各ソフトウェア担当者のお問い合わせ対応も、多くて1日の業務時間の2割ほどに抑えられています。以前と比べると、みんな生き生きと働けているように感じますね。
またお客様へのご返信が滞留する事態も解消されたので、お客様の満足度向上にもつながっているのでは、と思っています。
なぜ以前と比べて、サポートセンターで解決できることが増えたのでしょうか?
澤永様:サポートセンターとソフトウェアテストチームが連携し、各製品のナレッジが共有されていることが大きなポイントです。販売開始前にAGESTさんのほうでソフトウェアテストを行っているので、事前に十分なナレッジがある状態でお問い合わせを受けていただいています。想定されるお問い合わせ内容とその対応方法も発売前段階でマニュアル化してもらっているので、サポートセンター側での解決力が以前よりも向上しました。
改めて、今回最終的に課題を大幅に改善できた要因は何だったと思いますか?
澤永様:AGESTさんがサポートセンターの専業会社ではなく、ソフトウェアテストのプロフェッショナルであったことが挙げられると思います。現在のサポートセンターの姿は、「テストチームが隣接していれば、ナレッジ共有や連携も上手くいく」というAGESTさんからの提案が元になっています。
また先程も柔軟性のお話をしたとおり、やはり柔軟かつ親身になって対応いただき、一緒に仕組みづくりができたことが重要なポイントでした。
実はサポートセンター導入前、弊社に約3ヶ月間常駐いただき、業務フローをしっかり事前調査をしていただきました。現在の詳細に決められた業務フローも、この事前調査を踏まえた上で提案してもらったものになっています。
これまで様々なご提案とご対応をしていただきましたが、総じて「弊社のことを深く考えて対応してもらっている」と感じます。今後はお客様からいただいたご意見を、これまで以上に機能追加や新商品開発に生かすような、新たな取り組みも進めていきたいと思っています。