開発規模の拡大に伴い、テスト人員不足が課題に。アジャイルテスト支援によって、リソース不足の解決だけでなく、業務プロセスの改善に成功。
クラウド録画型映像プラットフォーム「Safie(セーフィー)」の開発・運営および関連サービスの提供
- プロダクトの開発規模が拡大し、テスト設計から実装を任せられる技術者が不足していた
- リソース不足が解消したことで、テスト内容や設計プロセスの改善に着手することができるようになった
- より良い開発体制の構築へとつながり、新たな価値を生むプロダクト開発フェーズへ
日本中、世界中のカメラの映像をクラウド化し、自分のため、社会のために
誰もが活用できる映像プラットフォームを提供しているセーフィー様。2024年6月、店頭スタッフと変わらない接客をリモートで行うことができる遠隔接客サービス「RURA(SF)」をリリースしました。セーフィー様にはプロダクトの開発規模の拡大に伴い、当社の「アジャイルテスト支援」を利用いただきました。今回は開発本部 第一開発部 QCDグループの山谷群様と小山貴士様に、ご依頼いただいた経緯やご依頼内容、今後の展望などについてお聞きしました。
誰もが活用できる映像プラットフォームを提供
はじめに、貴社の事業内容を教えてください。
山谷様:当社はビジョンとして「映像から未来をつくる」ということを掲げています。具体的には、日本中・世界中のカメラの映像をクラウド化し、誰もがそれを活用できるような映像プラットフォームを提供しています。例えば、カメラを導入したお客様の映像を使って、防犯や人材教育、施工管理、店舗運営、災害予見など、映像を見ることによって何かしらの意思決定をサポートできるようなサービスとなっています。また、最近では映像をAIに取り込むことによって価値を生み出すような製品開発も行っています。
お二人が所属されている、QCDグループについても教えてください。
山谷様:QCDグループは、一般的な会社でいうところのQA部門やテスト部門のようなチームとなっています。製品開発において、品質確認としてのテスト実施を行うだけではなく、バグを作らないように製品の要求仕様に関するレビューを行うなど、開発の前段階から業務に携わっていくことを目指したチームづくりを行っています。現在、QCDグループのメンバーは10人を超え、プロダクトと会社の拡大に合わせて徐々に人員を増やしてきました。
開発規模の拡大でテスト対象範囲が大幅に増加、テストリソース不足に
AGESTに依頼する前は、どのような課題を抱えていらっしゃったのでしょうか?
小山様:私が担当していたモバイルアプリのQAにおいて、リソースが足りていないという課題がありました。特にテスト設計から実装を任せられる技術者が不足していました。その背景としては、モバイルプロダクトの開発規模が拡大し、テストの対象範囲が広がったことで対応するべき業務が大幅に増えてしまったということがあります。
また、モバイルアプリ以外のWebアプリなど、他のプロダクトとの兼ね合いもあり、モバイルアプリに充てられるリソースが限られていました。ある程度、実装に関してはパワープレーでカバーできる部分もありましたが、開発体制をウォーターフォール型からアジャイル型に移行しようとしていたこともあり、工数増加が予見されていました。そのため、テスト設計から実装までを担える人員の確保とプロセス改善・体制づくりが喫緊の課題となり、AGESTに相談させていただきました。
山谷様:小山が入社した3年前は、担当者1人が3〜4つのプロダクトを掛け持ちしているような状況でした。嬉しい悲鳴ではあるのですが、特にモバイルプロジェクトの開発者が増えるにつれ、1回のリリースごとの機能も増えてテスト工数が積み上がっていく一方でした。そのため、あと半年もすればリソースが足りなくなることは目に見えていましたね。
AGESTを選んだ理由は、スピーディーな情報提供と柔軟な対応
AGESTを知ったきっかけについて教えてください。また、AGESTに依頼することを決めた理由を教えてください。
小山様:AGESTを知ったきっかけは、AGESTがデジタルハーツから分社化する前に、当時の担当者から問い合わせをしたことがあり、その問い合わせにご返答いただいたのがきっかけです。
AGESTに依頼を決めた理由は2つあります。1つ目は、弊社の希望するアサイン時期まで期間が短い状況だったにもかかわらず、スピード感を持って対応いただき、すぐにアサイン可能な技術者の情報を提供してくれた点です。2つ目は、当社の要望を満たす候補者を選定いただいた点です。当社としては、テストの設計から実装までを任せられるような人材、そして必要な時に出社して業務を行っていただける方を探していました。
他社にも見積もりを依頼していたのですが、そもそも期間が短くて対応が難しいという回答や、希望するスキルを満たす人員のアサインが厳しいといった回答が多かったですね。その一方で、AGESTはスピーディかつ柔軟に対応してくれたので大変助かりました。
具体的には、AGESTからどのような支援を受けましたか?
小山様:テストの設計から実装ができる技術者1名と、テストの実施を主としつつ探索的テストの観点から不具合を見つけられるテスト実施者1名の計2名をアサインしていただきました。
当初はアジャイル開発におけるテスト設計やテスト実施という名目で参画していただきましたが、能動的に動いてくれており、今ではテスト自動化のサポートもしてくれています。テストの自動化においてはノーコードのツールを使用していますが、可読性が高く、変更に強いスクリプトを実装する業務も担当してくれているので非常に助かっています。
AGESTから参画した2名の印象を教えてください。
小山様:テストの設計から実装ができる技術者としてアサインいただいた方は、テスト設計から実施まで期待通りの活躍をしてくれています。テスト観点のレビューや早め早めにテスト活動に取り組むなど、開発のレビューも主体的に行ってくれており、非常に助かっています。
テスト実施者の方に関しても、テスト実施で期待通りの成果を出してくれています。項目を実施するだけでなく、探索的な観点から見つけづらい不具合も発見してくれ、テスト設計の領域にも挑戦してスキルアップを図ってくれていますね。
山谷様:お二人が常に積極的にコミュニケーションを取ってくれている姿を間近で見ていて、その頼もしさを実感しています。小山を始めとした社内メンバーとの連携も非常に良好で、スムーズに業務が回っていると感じています。
リソース不足が解消し、業務プロセスの改善に着手できた
AGESTに依頼をして、実際にどのような成果が出たのかを教えてください。
小山様:これまでモバイルチームのアプリ担当は人員が足りておらず、目の前のタスクをこなすので精一杯という状態でした。しかし、AGESTにご支援いただいたことで、少しずつではありますが、テスト内容や設計プロセスの改善に着手することができるようになりました。まだ道半ばではありますが、ようやくそのような課題に取り組めるフェーズにたどり着けましたね。
私個人の話をさせていただくと、AGESTのお二人のサポートによって、モバイルチームから離れ、他のプロダクトや新しいプロダクトにも対応できるようになりました。チームとしてもより良い開発体制の構築を目指すフェーズに入ることができたと考えています。
アジャイル開発におけるテストの難しさやその際に求められるスキルなどがあれば教えてください。
小山様:アジャイル開発とウォーターフォール開発を比較して、テストにおける大きな違いはそこまでないと考えています。ただ、アジャイル開発ではウォーターフォール開発のように一定の実施項目をこなせばいいという姿勢ではなく、もう少し前のめりに全体を見据えて動いていく姿勢が求められる場面が多いかもしれません。
もう少し具体的にお話しすると、アジャイル開発におけるテストでは、短いスプリントの中で適切な仕様の理解をした上で素早くフィードバックしたり、正確な環境準備やスケジュール調整を行ったりすることが求められます。そのため、受身ではなく、常に「今何をすべきか」を考えて行動する力が必要だと感じます。スプリントが短いので、ミスが発生した際に取り返しのつかない事態になりやすく、タスクの優先順位付けをするなどの臨機応変な判断が問われますね。
また、限られた工数の中で、リスクと照らし合わせながらテストの設計や実装の粒度を適切にコントロールする力も重要だと考えます。アサインいただいた2名の方は、アジャイル開発における難しさをしっかりと理解し、アジャイル開発において求められるスキルを充分に持っていらっしゃいましたね。ただ、私たち自身も開発チームもアジャイル開発を完全にマスターしているわけではなく、まだ手探りでベストプラクティスを模索している段階です。
山谷様:実際には、完全にアジャイル開発ができている会社はほとんどなく、多くの企業が試行錯誤しながら進めているのが実情だと思います。
特に気をつけなければならないのは、ウォーターフォール型が完全にできていない段階でアジャイル開発を導入しても、あまり意味がないということです。アジャイル開発の手法を取り入れれば自然と上手くいくわけではなく、アジャイル開発のプロセスをきちんとドライブできる体制や人材が必要になると思います。
アジャイルテスト支援だけでなく、テスト自動化のサポートも依頼したい
今後の事業の展望をお聞かせください。
山谷様:当社は今後、海外展開を進めていく予定です。また先日、遠隔接客サービス「RURA(SF)」をリリースしました。今後も映像を使って意思決定をしたり、価値を生み出したりするプロダクトの開発を加速させていきます。
映像の利活用という観点では、コンサルティング領域の強化や現場のDX推進なども重要なテーマとなります。もちろん、既存製品の保守も継続していくので、開発を含めて積極的に採用も進めていきます。事業成長に合わせて、単に映像を見るだけでなく、いかに映像を使って新たな価値を生むかという視点でプロダクト開発を進めていく予定です。
今後のAGESTとの関わり方についても教えてください。
山谷様:まずは社員の増強を優先したいのですが、事業拡大スピードに応じて、引き続きAGESTにサポートをお願いする場面も出てくると考えています。その際は、また当社をご支援いただけると嬉しいです。引き続き、よろしくお願いいたします。
小山様:AGESTからは、テスト自動化に注力する技術者のアサインについても以前より提案をいただいています。現在はテスト自動化のプロセス構築を進めているところなので、テスト自動化のプロセス構築の形が整ってきた段階で、テスト自動化を担当いただける技術者のご支援をお願いしたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。