機密性の高い情報を取り扱う株式会社翻訳センター。データレスクライアント「Shadow Desktop」の導入で情報漏洩対策と利便性を両立。

株式会社翻訳センター

翻訳サービス業

業種 新技術・その他

従業員数500~999名(連結)

利用サービス PCのデータレス化(ShadowDesktop)

医薬営業部長 和田 庸平様
制作統括部 リソース管理グループ 課長代理 渡邉 裕子様
取締役 制作統括部長 田嶌 奈々様

株式会社翻訳センター

  • 高秘匿性の情報を扱う事業のため、顧客からの高い情報漏洩対策の要件が課題に
  • データレスクライアント「Shadow Desktop」導入により、情報漏洩対策と利便性の両立を実現
  • 情報漏洩対策の確立は、顧客からの信頼獲得にも繋がり、ビジネスの付加価値にもなった

製薬や医療機器分野など、機密性の高い産業翻訳を手がける株式会社翻訳センター様。同社では多数のフリーランス翻訳者を活用しており、外部環境でのセキュアなデータ管理が課題でした。2024年、フリーランス翻訳者などの外部委託先も含めた情報漏洩対策のため、AGESTが取り扱うデータレスクライアント「Shadow Desktop」を導入。今回は、医薬営業部の和田庸平様、制作統括部の田嶌奈々様、渡邉裕子様に、導入の経緯や成果、今後の展望についてお聞きしました。

産業分野に特化した翻訳ビジネスを展開

貴社の事業内容、そして所属している部署について教えてください。

和田様:当社は産業翻訳に特化している会社で、医薬、特許、工業・ローカライゼーション、金融・法務など多岐にわたる分野の翻訳を取り扱っています。私が所属している医薬営業部では、製薬や医療機器、化粧品、化学品メーカーとの取引が中心ですが、外資系製薬企業やCRO(臨床試験支援機関)からは特に機密性の高い新薬申請関連の翻訳を承っています。

田嶌様:私は制作統括部に所属しており、フリーランス翻訳者との取引を管理する業務を行っています。現在、当社には2,500名ほどのフリーランス翻訳者様にご登録いただいております。私の主な業務は、特に取引の頻度が高い1,000〜2,000名程度の翻訳者様との円滑な連携体制を整えることです。

渡邉様:私は制作統括部の課長代理を務めています。主な業務はフリーランス翻訳者とのやり取りや新規登録者の管理です。新規登録に際しては、応募者に対して専門分野ごとのトライアルを実施し、翻訳スキルや専門用語の理解力を評価します。合格した方のみが正式に登録され、案件ごとに適した翻訳者を選定するという流れです。また、翻訳者が守るべき情報管理マニュアルの周知や、契約書の締結、業務終了後の原稿破棄確認など、リスクマネジメントも担っています。

顧客からの情報漏洩に対する高い要件をクリアする必要があった

Shadow Desktopを導入する前は、どのような課題を抱えていたのでしょうか?

和田様:情報漏洩やサイバー攻撃への対策が長年の課題でした。当社はISMS認証を取得していますが、フリーランス翻訳者が使用する個人PCの環境までは細かく管理できていませんでした。グローバルな顧客からは「外部委託先を含めた完全な情報漏洩対策を構築できないか」と要請されることも多く、頭を悩ませていたのが実情です。

田嶌様:フリーランス翻訳者には情報管理マニュアルを共有し、セキュリティに関する研修動画の視聴や契約書の締結を行っています。さらに、登録時には「情報管理マニュアルを遵守する」と宣言してもらうだけでなく、業務終了後には原稿を破棄したことを専用ポータルから報告してもらっています。しかし、数千名もの翻訳者がいるなかで、最終的には個人の申告に委ねる部分が大きく、多くの不安が残っていました。

「データレスクライアント」に着目された背景を教えてください。

田嶌様:当初は別のソリューションも検討しましたが、業務で利用するアプリケーションが動作しなかったり、操作が遅延したりする問題が発生しました。また、数千名におよぶフリーランス翻訳者とやりとりをする弊社としては導入コストが膨大な額になる可能性があり、なかなか情報漏洩対策を前に進められずにいました。

このような状況下で、情報漏洩になりかねないヒヤリハットが発生しました。結果としては情報漏洩には至りませんでしたが、この経験をきっかけに物理的な制御強化の必要性を再認識させられました。この出来事を通して、データレスクライアントが最適な解決策かもしれないと考えるようになったのです。

強固なデータ漏洩対策とシステム導入の手軽さが魅力

Shadow Desktopを導入した経緯を教えていただけますか?

田嶌様:Shadow Desktop導入の経緯は、AGESTから提案を受けたことがきっかけです。提案ではエンドポイント保護や脆弱性管理などのさまざまなセキュリティソリューションを紹介していただきました。その中で課題にマッチしたのが、データレスクライアント「Shadow Desktop」でした。実際に試験導入を行ってみたところ、セキュリティ面の強固さと、現場での使いやすさの両方が当社の求めていた要件にマッチしていることがわかり、導入することを決めました。

Shadow Desktop導入の決め手は何でしたか?

田嶌様:実は他社の製品も試したのですが、翻訳業務で使用する専門的なアプリケーションが動作しないことが多く、導入を断念したという過去があります。また、費用面でも課題があり、長期的な運用が難しいと判断していました。
Shadow Desktopは情報漏洩対策への課題にマッチしていたのはもちろんのこと、費用面や運用面でもさまざまな懸念事項をクリアできたため、導入することを決めました。

渡邉様:導入に際して、まずは社内で検証を行いました。普段業務で使用している翻訳支援ツールやofficeソフトが正常に動作するかを確認したり、ネットワーク環境によって動作が遅くならないかといった点も重点的にテストを行いました。その結果、問題なく導入できると判断し、Shadow Desktopの導入を本格的に進めていきました。

顧客からの情報漏洩に対する厳しい要求をクリアできた

実際に導入してみて、どのような成果が得られましたか?

和田様:まず一部の顧客に導入報告を行いましたが、「ここまで徹底した情報漏洩対策を行っている企業は少ないため安心感がある」との高い評価をいただきました。それに加えて「端末にデータが残らない」仕組みは、セキュリティ部門以外の担当者にも説明しやすく、営業部門としてビジネスの付加価値に繋がっていると感じています。

また、外資系の顧客の厳しいレビューも無事にクリアしており、「重大なインシデントが発生した場合、Shadow Desktopを導入している環境ならどのようにリスクが軽減されるのか」といったシミュレーションにも十分な対応ができるようになりました。

サポート体制や利用者からの声について教えてください。

渡邉様:メーカーサポートは問い合わせ対応のスピードが非常に早く、トラブルが発生しても短時間で解決してもらうことができました。特に起動ログやPC環境の確認など、ユーザーからの質問に対して迅速にサポートいただきましたね。翻訳者ごとに異なるPC環境で作業しているため、トラブルの内容がデバイスごとに異なる場合もありますが、Shadow Desktopの担当の方のサポートが迅速なおかげで、大きな混乱は防げています。

田嶌様:Shadow Desktopの導入時にはインストール手順が障壁になることが懸念されましたが、簡単に設定できるため、フリーランス翻訳者にも受け入れられています。翻訳者の中には、新しいツールの導入に難色を示す方も少なくありませんが、「インストールがすぐに完了し、作業も普段通り進められる」という声を多く頂いています。
さらに、管理コンソール「Shadow Desktop Manager」によるログ管理も活用しています。委託先がどの程度システムを使用しているかを可視化できるため、翻訳者へのサポート状況や運用状況を把握しやすくなりました。

顧客から高い信頼を獲得し、ビジネス基盤をより強固にしていきたい

今後、Shadow Desktopに期待することはありますか?

渡邉様:Shadow Desktopには多くの点で満足していますが、改善してほしい点もいくつかあります。たとえば、一定期間経過後にデータへのアクセスを自動で制限する機能が追加されると、さらに安全性が高まると考えています。

田嶌様:ライセンス契約の柔軟性が課題となっています。現在Shadow Desktopを使用しているのは、主に業務頻度が高い約100~300名のフリーランス翻訳者ですが、定期的にお仕事をお願いしている翻訳者の方は合計で1,000〜2,000名にのぼります。翻訳者の中には月1回程度しか稼働がないケースもあり、全員にライセンスを付与するのは費用面で困難な状況なので、我々のような業務形態の会社がもっと活用しやすいような契約の形ができると嬉しいです。

今後、どのようにサービスを活用していきたいとお考えですか?

田嶌様:最終的には、すべてのフリーランス翻訳者にShadow Desktopを導入し、社内外でのセキュリティをより強固なものにしていきたいと考えています。現在は業務頻度が高い翻訳者を対象に導入を進めていますが、今後はより幅広い外部委託先にも展開することが目標です。これにより、翻訳者が安心して作業できる環境が整い、当社も顧客に対して強力なセキュリティ対策をアピールできるようになると考えています。

和田様:営業面での競争力をさらに強化していきたいです。これまで、顧客からは「外部委託先も含めて情報漏洩対策が徹底されているか」という厳しい視点で問われることが多々ありました。しかし、Shadow Desktopの導入によって、懸念が解消されるだけでなく、それがビジネスとしての競合他社との差別化ポイントにもつながることが期待できます。
Shadow Desktopの利用拡大や情報漏洩対策に関する社内啓蒙をさらに進めることによって、ビジネスそのものもステップアップできると考えています。

渡邉様:フリーランス翻訳者への導入を引き続き進めていくことで、顧客にも強いアピールポイントになると考えています。ただし、導入の拡充には膨大なライセンス数によるコストなどの障害もあります。このような課題に対し、AGESTやアップデータと共に解決していければと考えています。

本ページ内に記載の所属情報は2025年2月現在のものです。

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