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AGEST、「AGEST Testing Lab.」設立を発表 ~電気通信大学、早稲田大学及び長崎県立大学と産学連携し、ソフトウェアテスト技術の研究を推進~

 先端品質テクノロジーを活用してソフトウェアの品質・安全性向上を支援する株式会社AGEST(本社:東京都新宿区、代表取締役社長: 二宮 康真、以下「AGEST」)は、先端品質テクノロジーを活用したソフトウェアテスト技術の研究を行う「AGEST Testing Lab.」を設立し、電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 西研究室、早稲田大学 基幹理工学部 情報理工学科 鷲崎研究室及び長崎県立大学 情報システム学部 情報セキュリティ学科 加藤研究室と産学連携で、デジタル社会を支えるソフトウェアテスト技術の研究を開始することをお知らせいたします。

「AGEST Testing Lab.」設立の背景と目的

 近年、IoTの普及やDXの推進により、ソフトウェアで制御する対象が従来のパソコンやスマートフォンといった情報端末から、家電、自動車、住環境等へと広がっています。これに伴い、ソフトウェアの複雑化が進み、製品故障やサービス停止につながる致命的な不具合が発生するリスクが高まるなど、製品の信頼性や安全性を確保するためのソフトウェアテストの重要性が増しています。

 このような課題に対し、「AGEST Testing Lab.」は、各テーマ領域において著名なの学術界の研究者3名と連携し「AI (Artificial Intelligence:人工知能)」、「アジャイル」、「 セキュリティ」の3方向から、社会を支えるための新しいテスト技術を研究し、学術と産業の両面からソフトウェアの品質と安全性の向上を追求いたします。今後、さらなる国内外の研究者との連携も視野に、ソフトウェアテスト領域における研究テーマの拡大及び深耕をはかり、論文やカンファレンス等における研究成果の発表や成果を用いたツールの開発を目指します。

AGEST Testing Lab. 概要

名称:AGEST Testing Lab.
所長:高橋寿一(株式会社AGEST 執行役員 CTSO)

AGEST Testing Lab. 研究テーマとその研究者について

【AI】:AI製品へのソフトウェアテストの適応

 本研究では、ディープラーニングや深層学習と呼ばれるニューラルネットワークを用いたAIに対するテスト技法を確立することを目的とし、既存のテスト技法を調査・試行し、その結果より新たなテスト技法への進化にくわえ、著名なAIに対して進化させたテスト技法の適用を行います。

研究者:西 康晴(にし やすはる)氏 
電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻 経営・社会情報学プログラム 講師
NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER) 理事長

【アジャイル】:アジャイルテストに関する研究

 本研究では、実際の複数のアジャイル開発におけるプロダクトやプロセスほかの品質などを各種のアジャイルメトリクスにより定量的に評価し続け、様々な特性を加味した形で採用プラクティスやパターン他の品質への効果や制限を明らかとし、それらを用いるうえでの有用なガイドや指標を実現することを目的とします。

研究者:鷲崎 弘宜(わしざき ひろのり)氏
早稲田大学 グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長
早稲田大学 基幹理工学部 情報理工学科教授

【セキュリティ】:ファジングテスト手法を用いたセキュリティテストの研究

 本研究ではOSS (Open Source Software) を含め様々なセキュリティファジングツールを評価するとともに、あらゆるIoTに対して最適なファジングツールを適用する手法を研究します。今後起こり得ると思われるIoT機器におけるハッカーによる大規模攻撃に備えるための重要な研究をAGEST Testing lab.で行っていきます。

研究者:加藤 雅彦(かとう まさひこ)氏
長崎県立大学 情報システム学部 情報セキュリティ学科教授

※ すべてのブランド、製品名、会社名、商標、サービスマークは各社に権利が帰属します。

【AGEST Testing Lab.について】
AGEST Testing Lab.は、新しいソフトウェア社会を支えるためのテスト技術の研究を通じて、先端品質テクノロジーで、すべてのDXに豊かな価値と体験の創造を目指しています。
https://agest.co.jp/lab/

【AGESTについて】
AGESTは、「先端品質テクノロジーで、すべてのDXに豊かな価値と体験を」をビジョンに掲げ、先端テクノロジーの研究や最新技術に対応したQAテックリード人材の育成を推進し、次世代QAソリューションの提供を通じて、高度デジタル社会の発展に貢献しています。
https://agest.co.jp

【報道関係者からのお問い合わせ】
株式会社デジタルハーツホールディングス IR広報部 広報担当
Mail: press@digitalhearts.com  電話番号:03-3373-0081

Appendix

AGEST Testing Lab. 所長 高橋 寿一

情報工学博士。1964年東京生まれ。

フロリダ工科大学大学院にてCem Kaner博士、James Whittaker博士にソフトウェアテストの指導を受けた後、広島市立大学にてソフトウェアテスト研究により博士号取得。

株式会社AGEST 執行役員 CTSO。

情報処理学会及びIEEE会員。

AGEST Testing Lab.所長 高橋 寿一の挨拶

 AGEST Testing Lab.は、ソフトウェアテストに特化した研究組織です。今後ソフトウェアはDXや車載のコンピュータ化が進んでいきますが、それに伴いソフトウェアの複雑性が増し、そして品質の低下は自明の理です。

 そんな中、皆様の会社ではその準備ができていますか?すでにソフトウェアのテストは手動でできる範囲はほとんどなく、頑張ってもソフトウェア全体の数パーセントしかテストできていません。ただなにも考えずに自動でやれば、それが広がるかというと結局同じことの繰り返しの場合もあり、ソフトウェアの一部をテストするに過ぎないことがあります。

 今後のソフトウェアテストは、肥大化するソフトウェアに対して適切に網羅するような戦略を効率的に実行するという方向にいくと考えます。例えばAIのソフトウェアの場合、そのAIエンジンのソースコード量は小さいですが、様々そして膨大なデータをテストしなければいけません。そうなると既存の境界値テストといったテスト手法は無意味になり、いかに行列計算を網羅するという世界に入っていきます。

 新しいソフトウェア社会を支えるための新しいテスト技術を研究する組織として、皆様のお役にたてる研究成果を公開していきます。

研究テーマ及び研究者について

研究テーマ【AI】:AI製品へのソフトウェアテストの適応

 ゲームから車載機器まで、AI(Artificial Intelligence: 人工知能)を用いた製品やサービスが主流になってきています。こうしたAIは通常ML(Machine Learning: 機械学習)技術を用いて開発されますが、テストの手法はこれまでの伝統的なソフトウェアテストと異なることが知られています。AIに対する品質保証に関する国内初のガイドラインであるQA4AIガイドラインによると、伝統的なソフトウェアのための演繹的開発と異なり、ML技術を用いたAIは帰納的開発と呼ばれる方式で作られるため、メタモルフィックテストやニューロンカバレッジなどの帰納的開発特有のテスト技法が必要となります。しかし現在のところ、どの技法も確立しているとは言えません。
 本研究プロジェクトでは、AIに対する既存のテスト技法を調査・試行し、実用的なテストについてAGEST Testing Lab.と共同で模索しながら、AIに対する実用的なテストの技法や枠組みを確立することを目的とします。

研究者:西 康晴(にし やすはる)

・電気通信大学 大学院情報理工学研究科情報学専攻
 経営・社会情報学プログラム 講師

・NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会(ASTER) 理事長

・JSTQBソフトウェアテスト技術者認定資格制度 運営委員長

・一般社団法人日本科学技術連盟 ソフトウェア品質委員会  (SQiP) 副委員長

・ISO/IEC JTC1/SC7/WG26 国内委員会主査

 車載ドメインを始めとした様々な組込みシステム、金融などのエンタープライズシステム、パッケージソフトウェア、Webシステム、ゲームなど多岐に渡る国内外の企業へのテストや品質保証のコンサルティングと、大学での教育・研究、そして国際規格や技術者認定資格といった公的活動を基盤として、「現場に笑顔を」をキーワードに、テストや品質保証に関する包括的かつ実務的な技術開発を行っています。

研究テーマ【アジャイル】:アジャイルテストに関する研究

 アジャイル開発における品質保証を的確に進めるうえで様々な技術やツール、プラクティス、プロセス、パターンが知られていますが、プロセスやプロダクト 品質への影響や有効性や制限は明確には明らかとされていません。
 非アジャイルの厳格な計画的開発とは異なり、アジャイル開発は動的かつ適応的であり、さらに用いるプラクティスや実施するチーム、さらには対象とするビジネス及び問題領域の特性を色濃く反映した活動及びプロセスとなります。そこで本研究では、実際の複数のアジャイル開発におけるプロダクトやプロセスほかの品質などを各種のアジャイルメトリクスにより定量的に評価し続けて、様々な特性を加味した形で採用プラクティスやパターン他の品質への効果や制限を明らかとし、それらを用いるうえでの有用なガイドや指標を実現することを目的とします。

研究者:鷲崎 弘宜(わしざき ひろのり)

・早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長

・早稲田大学基幹理工学部情報理工学科教授

・国立情報学研究所客員教授

 コンピュータに関する世界最大の学会IEEE Computer Societyの副会長を務めるとともに、情報処理学会ソフトウェア工学研究会主査を務め、ソフトウェアエンジニアリングや関連技術の展開を国内外でリードしています。研究室として産学官連携並びに国際連携を通じてビジネスと社会のためのスマートシステム及びソフトウェアエンジニアリングの研究、教育、実践、社会実装を推進しています。ソフトウェア解析やソフトウェア品質評価・高信頼化、再利用お よび機械学習応用を得意とし、それらの適用を通じてソフトウェアシステムの要求から設計、実装、テスト・検証、運用・保守、それらのビジネス接続、さらには情報教育・人材育成まで幅広く成果を上げています。

研究テーマ【セキュリティ】:ファジングテスト手法を用いたセキュリティテストの研究

 近年Webアプリケーションやクラウドアプリケーションのセキュリティは大きな問題になり、その対策手法は大きな進化をとげました。しかしIoT機器に対するセキュリティ対策は研究途上にあり、そのセキュリティテストの根幹であるファジングテストは重要なセキュリティ品質の担保のための研究テーマになりえます。
 本研究ではOSSを含め様々なセキュリティファジングツールを評価するとともに、あらゆるIoTに対して最適なファジングツールを適用する手法を研究します。
 今後起こり得ると思われるIoT機器におけるハッカーによる大規模攻撃に備えるための重要な研究をAGEST Testing lab.で行っていきます。

研究者:加藤 雅彦(かとう まさひこ)

 長崎県立大学 情報システム学部情報セキュリティ学科教授
1998年株式会社インターネットイニシアティブに入社し、官公庁のシステム運用、ネットワークシステム設計構築業務、脆弱性検査サービスの立ち上げ、大学との共同研究等の業務に従事。日本ネットワークセキュリティ協会の幹事や日本セキュリティオペレーション事業者協議会、日本セキュリティ監査協会など様々な業界団体での活動を行い、経済産業省など官公庁の委員も勤める。2016年長崎県立大に着任し、情報セキュリティの研究と教育を行う。